震災による被害で大きな損傷はバルコニー側や開放廊下側の雑壁に見られますが、被害の大きいマンションはサッシ枠への損傷が発生しています。地震の揺れの大きさや方向によって状況は異なりますが、特に2F〜4F辺りの下層階箇所にサッシ枠の歪みが多い様です。
枠の歪みのよって障子との間に隙間が出来たり、サッシの施錠が出来ないと入居者の方は大変不便で、隙間風が入ると室内の断熱性が低下し、寒さの厳しい今シーズンの冬を乗り切ることが難しくなります。
サッシ縦枠の歪みは5.0mmから最大で15.0mm位有りますが、10.0cmmまでの歪みであればサッシ枠を修正し、現状復帰して補修することが可能です。しかし、補修の為にはサッシ縦枠と躯体の間を斫り取り、トロ詰めモルタルを除去してからサッシ枠を修正します。
躯体には枠を固定していた溶接アンカーが埋め込まれていますので、ここを切断して枠をフリーな状況にし、垂直なラインを保って添え木を当てながらハンマーで叩いて調整します。その後、再び溶接アンカーに再溶接して固定し、中に結露防止の為に発砲ウレタンをを吹いてからモルタルで埋め戻します。
この工法であればサッシ枠とガラス障子はそもまま再使用することが出来る為、最小限度の費用で補修が完了します。ただし、歪みの幅が10.0mm以上になると枠の修正は困難になる為、枠全体に新たにやや大きい枠を被せ、ガラス障子も幅が狭くなり新しい物に作り替える必要が有ります。この工法が「カバー工法」と呼ばれるものです。但し、カバー工法では新たな枠が小さくなる為、既存のガラス障子はやや小さい障子に交換する必要がありますので割高となります。
「カバー工法」は玄関扉枠改修も同様ですが、本来マンションの築年数が30年以上で、サッシの気密性や防水性が保たれなくなった場合に行われる工法で、首都圏の公団や分譲マンションなどの2回目以上の大規模修繕工事に多い様です。
また、玄関扉の場合には社会的劣化の改善、またが美観の向上の目的で採用されています。壁を縦・横に大掛かりに斫って枠を交換する必要が無い為、騒音や粉塵の発生も少なく工期も短い為、マンションの大規模修繕工事には適している工法です。
サッシメーカーさんの話によると、仙台では5年後位の営業展開を予定していたが、今回の震災で急激に需要が伸びて専門スタッフを仙台に配置したようです。
01 サッシ枠斫り完了
02 サッシ縦枠下端の歪み
03 サッシ縦枠の歪み
04 サッシ枠の固定
05 サッシ枠を溶接アンカーに再溶接
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台」
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】
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