マンション管理士の三島です。今回は、大規模修繕工事で見落とされがちな「シーリング工事」の本当の重要性をお届けします。
マンションの大規模修繕工事と聞くと、多くの方が「外壁塗装」や「防水工事」を思い浮かべます。
しかし、実は建物の寿命を左右するほど重要なのに、住民の方からは意外と注目されにくい工事があります。
それが シーリング工事 です。
外壁の目地やサッシ周りに充填されている、ゴム状の防水材。
普段はあまり意識されませんが、建物を雨水から守る“最後の砦”とも言える存在です。
■ シーリングが果たしている3つの重要な役割
① 雨水の侵入を防ぐ「防水の要」
シーリング材は、外壁の継ぎ目やサッシ周りの隙間を埋め、雨水が建物内部に入り込むのを防いでいます。
ここが劣化すると、外壁内部に水が回り、鉄筋のサビやコンクリートの劣化(爆裂)を引き起こす原因になります。
つまり、シーリングの劣化は「見えないところで建物を傷める」最も危険なサインです。
② 建物の動きに追従する「クッション材」
建物は、気温の変化や地震、風などで常に微妙に動いています。
その動きに追従し、外壁のひび割れを防ぐ役割を持つのがシーリング材です。
劣化して硬くなると、動きに耐えられず ひび割れ → 雨水侵入 → 劣化加速 の悪循環に陥ります。
③ 外壁仕上げを長持ちさせる「寿命の延命装置」
シーリングが健全であることは、外壁塗装や防水工事の耐久性にも直結します。
どれだけ良い塗料を使っても、シーリングが劣化していれば、塗装の寿命は大きく縮まるのです。
■ シーリング材は“消耗品”です。寿命は約10〜15年
シーリング材は紫外線に弱く、経年で必ず劣化します。
- ひび割れ
- 肉やせ
- 破断
- 剥離
これらの症状が出ている場合、すでに防水性能は大きく低下しています。
大規模修繕工事が12年周期で行われる理由のひとつは、シーリング材の寿命に合わせているためでもあります。
■ シーリング工事の基本は「打ち替え」が原則
大規模修繕では、シーリング工事には2種類あります。
- 打ち替え:古いシーリングを撤去し、新しい材料を充填する
- 増し打ち:古いシーリングの上から新しい材料を重ねる
外壁の目地など、建物の動きが大きい部分は 必ず“打ち替え”が基本です。
増し打ちでは根本的な劣化を解消できず、耐久性も大きく劣ります。
■ シーリング工事を軽視するとどうなるのか
シーリングの劣化を放置すると、次のような深刻な問題につながります。
- 外壁内部への雨水侵入
- 鉄筋の腐食(サビ)
- コンクリートの爆裂
- 外壁タイルの浮き・剥落
- 室内への漏水
- 修繕費の増大(将来の工事が高額化)
特にタイル外壁のマンションでは、シーリングの劣化がタイル剥落事故の大きな原因になります。
■ 大規模修繕工事で最も費用対効果が高い工事のひとつ
シーリング工事は、外壁塗装や防水工事と比べると目立たない存在ですが、
建物の寿命を延ばし、将来の修繕費を抑えるために最も効果が高い工事です。
「見えない部分こそ、しっかり直す」
これが大規模修繕工事の本質であり、シーリング工事はその象徴と言えます。
■ まとめ:シーリング工事は“建物を守る最後の砦”
- 雨水の侵入を防ぐ
- 建物の動きに追従する
- 外壁仕上げの寿命を延ばす
これらの役割を担うシーリング工事は、マンションの健康を守るために欠かせない工程です。
大規模修繕工事を成功させるためには、
「シーリング工事の質」こそが建物の未来を左右する
と言っても過言ではありません。
mishima
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