マンション管理士の三島です。今回は、山岡淳一郎著『マンション 狙われる修繕積立金』を読んでです。
マンション管理士が読む
『マンション 狙われる修繕積立金』――いま、管理組合が直視すべき現実
マンションの修繕積立金は、住民が長年積み上げてきた「未来の安心」そのものです。しかし近年、その大切な資金が外部から“狙われる”事例が全国で増えています。 山岡淳一郎氏の著書『マンション 狙われる修繕積立金』は、この問題を真正面から描いた一冊であり、マンション管理の現場にいる者として、胸が締め付けられるようなリアリティがありました。
本稿では、同書の主張を踏まえつつ、仙台で管理士として活動する立場から、管理組合が取るべき実践的な対策をまとめてみました。
修繕積立金が狙われる理由
修繕積立金は、マンションによっては数億円規模に達します。 そのため、以下のような「誘惑」が生まれやすくなっています。
- 不当なコンサル契約 高額なコンサル料を要求し、実態のない調査や提案を繰り返す。
- 業者による囲い込み 特定業者が理事会に接近し、見積りの比較を形骸化させる。
- 理事会の知識不足につけ込む手法 “専門用語の洪水”で判断力を奪い、言いなりにさせる。
著書でも描かれていますが、これらは決して遠い世界の話ではありません。 仙台でも、管理組合が知らぬ間に不利な契約を結ばされそうになった、または契約をしてしまったケースを私は見てきました。
なぜ防げないのか
理由はシンプルですが、しかしかなり深刻です。
- 理事会は毎年入れ替わるため、知識の蓄積が難しい
- 「専門家の言うことだから」と思考停止しやすい
- 見積りや工事内容の“妥当性”を判断する基準がない
つまり、管理組合は構造的に弱い立場に置かれています。 この弱さを補う仕組みを作らなければ、修繕積立金はいつでも狙われ得ます。
管理組合が今すぐできる防衛策(実践版)
- 見積りは必ず3社以上、仕様書を統一する
仕様書がバラバラだと比較できません。 「同じ土俵で競わせる」ことが透明性の第一歩です。
- 理事会の議事録を“住民向け”に書き換えて公開する
専門用語だらけの議事録は不信感を生みます。 住民が理解できる言葉で説明することが、外部の不当介入を防ぎます。
- 大規模修繕は“責任施工方式、プロポーザル方式”を基本とする
談合の温床となっている設計監理方式は、制度は理想的ですが、どうしても不正を防ぐことが困難な方式です。管理組合としては信用(実績)のある工事施工会社に事前に相談することは手段の一つとなります。また、プロポーザル方式を採用し、提案力を競わせることも今後の大規模修繕工事対策には必要となると思います。
- 理事会に“外部専門家”を入れる
管理士・建築士・弁護士など、利害関係のない第三者が入るだけで、 不当な提案はほぼ通らなくなります。
- 修繕積立金の運用状況を毎年“見える化”する
グラフ化・長期修繕計画との比較・残高推移など、 数字を“見える化”することにより住民の理解が深まり、最大の防御となります。
著書が投げかける問い
山岡氏の本が鋭いのは、単なる不正の告発ではなく、 「管理組合はどうすれば自分たちの資産を守れるのか」という視点を持っている点です。
マンションは“共同体”であり、修繕積立金はその共同体の生命線です。 だからこそ、住民自身が主体的に学び、判断し、守らなければならないことを訴えかけています。
仙台の管理組合に伝えたいこと
現在、仙台は築30〜40年のマンションが増え、 修繕積立金が大きく貯まる時期に入っていると思います。
つまり、狙われやすいタイミングが来ているということです。
私は管理士として、 「知らなかったから損をした」という管理組合を一つでも減らすために、情報発信を続けています。
✍️まとめ
修繕積立金は、マンションの未来を支える“住民の財産”。 それを守るためには、知識・透明性・第三者チェックの三つが欠かせないと思います。
『マンション 狙われる修繕積立金』は、 その重要性を改めて突きつけてくれる一冊です。
管理組合の皆さんには、ぜひ一度手に取って読んで欲しい1冊です。 そして、今日からできる対策を一つずつ始めてほしいと思います。
mishima
最新記事 by mishima (全て見る)
- 「マンション 狙われる修繕積立金」を読んで - 2026年7月8日
- 今回の大規模修繕工事「排除命令処分案」についてマンション管理士ができること - 2026年6月29日
- 大規模修繕工事の談合から管理組合が学ぶこと - 2026年6月18日
- 自宅マンションの「マンション標準管理委託契約書」を見直してみては - 2026年6月8日
- 大規模修繕工事で見落とされがちな「シーリング工事」の本当の重要性 - 2026年5月28日







