機械式駐車場塗装工事
機械式駐車場パレットの劣化現象
マンションの機械式駐車場のパレットは塗装仕上げの場合と、亜鉛メッキ仕上げでその耐用年数は大幅に異なります。
初期のモデルは殆どが塗装仕上げにため、3年から5年位でパレットの上端の発錆・腐食が見られるようになります。
長期修繕計画で3年毎くらいに塗替えが行われていれば良いですが、殆どの場合発錆から腐食に至るような時期に塗替えが行われいます。
パレットの上端はt=3.2mmの平板又は縞鋼板でできていますが、最も腐食が起こりやすい箇所は前輪と後輪のタイヤの位置です。
車重により鉄板に僅かな凹みができるため、水が貯まると乾きにくい状況です。特に縞鋼板は水の掃けが悪いため錆びやすく、地下ピットのパレットは腐食に至るケースが多い様です。
仙台は近年冬期間に道路での融雪剤の使用が多くなり、車輪や泥除けに付いてきた物が落下すると次第に凝縮され、特に腐食を促進させるケースが多い様です。
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パレット上端の発錆
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後輪車止の腐食
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後輪廻り床の腐食
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ケレン後の状況
機械式駐車場パレット補修塗装の工程
最も大事な工程はサビの除去ですが、ケレン3種と呼ばれる電動工具を使用する作業で、活膜(生きている塗膜)は残して脆弱部を全て落とす作業です。
通常はカップワイヤーという金属の回転ブラシで落としますが、腐食が進んでいたり錆の層が1.0mm以上有るような場合にはハンマーを使って打撃を加えます。
但し、住宅地のなかで大きな音が出るとご近所からクレームになることもあり、事前の告知などにより近隣対策には十二分な対策が必要です。
また、作業の際にはケレンカスの飛び散りや塗料の飛散が考えられるため、工事期間中は全ての車輌を移動して頂く必要があります。
塗装仕様は2液タイプの速乾タイプのエポキシ錆止めを塗布し、2液ウレタン樹脂塗料(強溶剤系)2回塗りで仕上げます。
塗膜厚が付いて錆止め剤は乾きにくいため、地下ピット内での塗装作業は速乾性の錆止め剤が有効です。
パレットの上端・下端・ゲート枠・メッシュフェンス・縞鋼板周辺部を3回塗りで仕上げ、古くなったナンバーシール等を張り替え、管理組合様の竣工検査を経て工事は完了します。
なお、縞鋼板・平板は腐食すると完全なケレンは困難で、錆止めを塗布しても再び発錆が進みやすく止めることは出来ません。
浸透性の錆止め剤の併用などもある程度有効ですが、腐食が進んだ場合には早めに溶接による鉄板の重ね張りを選択したほうが良いと思われます。
また、機械式駐車場の場合ケレンカスの飛び散りや塗料の飛散が避けられず、施工に際しては全車両を移動して頂く必要があります。
作業は天候に左右され易く降雨後の作業は制限されるため、工程は充分な余裕を持って計画したほうが良いでしょう。
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1.ケレン作業 カップワイヤーを使用
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2.エポキシ系錆止め剤の塗布(下塗り)
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3.錆止め完了
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4.溶接用鉄板(t=3.2)錆止め剤の塗布
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5.鉄板の溶接
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6.縞鋼板溶接完了
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7.溶接鉄板錆止め完了
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8.溶接箇所のシーリング材充填
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9.シーリング完了
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10.ウレタン樹脂塗料(2液型) 中塗り
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11.ウレタン樹脂塗料(2液型) 上塗り
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12.樹脂製車止め取り付け完了
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13.樹脂製の車止取り付け完了
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14.施工完了
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15.施工完了