鉄骨階段塗装工事
鉄骨階段塗装工事
最近のマンションの鉄骨階段は亜鉛メッキ仕様が多く、25年程の耐用年数があると言われていますので塗替えの頻度は少ないですが、築15年以上のマンションではスチール製塗装仕上げが多く、特に雨掛かり部では5年位周期の塗替えが必要です。
特に発錆、腐食の進行しやすい部位は鉄骨、鉄板の接合部、水溜まりの発生による踊り場の縞鋼板、手摺支柱の取り合い部分の発錆、腐食、湿った空気が滞留する事による踊り場、階段の段裏、などの発錆が上げられます。
特に問題となるのは踊り場の勾配不良による水溜りの発生で、縞鋼板の場合には水抜き穴(8.0mm)を設けるか、モルタル床の場合にはモルタルで水勾配をとる方法が有効です。
また仙台市内のマンションでは北または西に面したモルタル踊り場、踏面の場合冬に凍害が発生してコンクリート面が破壊され、改修工事が必要になるケースが見られます。
問題はモルタル仕様の場合モルタル面の防水が成されていない事と、鉄板とモルタルとの取り合い部分から雨水が進入して錆汁が発生し、モルタルの中性化をより促進し劣化していく点です。
この対策として踊り場あるいは踏面の防水処理が必要で、一般的には塩ビシート貼りまたはウレタン塗膜防水施工が行われます。
塩ビシート貼りの場合はデザイン性があって美観もよく、階段を通行する時のココツ音が軽減されると言うメリットもあります。
劣化の現状
踊り場の水溜り(鉄骨)
鉄骨階段の縞鋼板製の踊り場は、勾配不良と縞鋼板の模様のため水はけが悪く特に錆が進行しやすい。
【対策】
縞鋼板に8.0φmm前後の抜き穴を設け水はけを良くする。
踊り場の水溜り(モルタル)
モルタルの踊り場では勾配不良のため水溜りが出来きて藻が発生している。
【対策】
床面をサンダーケレンした後モルタルで水勾配を取り、水張り試験で水はけを確認してからウレタン塗膜防水処理し、鉄板の取り合い部分をコーキングする。(踊り場がウレタン防水仕上げの場合)
手摺支柱取り合い部分の腐食
常に水が滞留する所はやがて腐食が進行する。
【対策】
常に水はけの良い状態を保ち、腐食箇所は溶接にで補修の上錆止め、再塗装を行う。
段裏の発錆、腐食
北面に面した階段の段裏などは湿った空気が滞留し易く、錆、腐食の進行しやすい部位です。
特に鉄骨、鉄板の接合部はケレンが難しく、再塗装しても錆汁が発生し易く、海岸に近い場所では特に顕著となります。
【対策】
十分なケレン、錆止めは勿論ですが、鉄骨の接合部には浸透性の特種錆止め材も有効です。
モルタル踏面、踊り場の凍害
モルタルは防水が施されていないため北、西面は冬期間雪が溜まって凍結、融解を繰り返し、コンクリート組織を破壊して凍害が発生する。
【対策】
踊り場、踏面をウレタン塗膜防水処理し、鉄板との接合部もコーキングを施して水の浸入を防ぐ。
鉄骨階段塗装工程
-
1.サンダーケレン
電動工具を使用して錆、既存塗膜を除去するが、入り隅部や鉄骨の接合部、支柱の取り合い、縞鋼板などは特に入念な作業が必要です。 -
2.錆止め(下塗り)
防錆性に優れた変性エポキシ系錆止めが一般的ですが、鉄骨の接合部、入り隅部、縞鋼板などは通常の錆止めでは不十分なケースもあり、浸透性錆止め剤の導入も有効です。 -
3.中塗り
弱溶剤系ウレタン樹脂塗料をローラーまたは刷毛で塗布。
下塗りの際の塗膜の【ゴミ】や塗面の凸凹を平滑にするために研磨工程は不可欠です。 -
4.上塗り
下塗りと同じく弱溶剤系ウレタン樹脂塗料を塗布。
下塗り塗料が完全に乾燥した後に上塗り塗料の2回目を塗ります。 -
5.完成
踊り場の縞鋼板には錆止め前に8.0φmmの水抜き穴を設け、穴には入念な錆止め処理を行う。
ノンスリップ一体型塩ビシート貼り工法
-
1.施工前
踏面モルタル面の凹凸、劣化した箇所をサンダー、カップワイヤー等でケレンし下地を調整する。 -
2.塩ビシートの接着
ノンスリップ一体型塩ビシート裏面及び踏面に接着剤を塗布。 -
3.入隅部をシール処理
踏面・蹴上及びノンスリップ一体型の階段用塩ビ防滑シートを下から上に張り込みます。 -
4.シート端末のシール処理
シート端部の剥がれや水の侵入を防止しするためにエポキシ系シール材を充填します。 -
5.施工完了
-
鉄骨階段改修塗装工事(防滑塩ビシート貼り仕様の場合)についてご紹介いたします。
築38年のマンションの鉄骨階段改修工事
築38年のマンションの鉄骨階段2基の3度目となる改修工事を実施しました。9年前に弊社で施工させて頂いた時は塗装工事のみでしたが、今回は、各踊場・踏面の防滑塩ビシートの剥離が生じ、下地モルタルに漏水が発生して凍害が生じています。
原因は20年前に他社さんで施工された塩ビシートの耐用年数が経過し、紫外線により硬化収縮することでノンスリップ金物との取合いから剥離したことに有ります。このまま放置すれば踊場・踏面の鉄板の腐食・膨れが生じ、安全性も懸念される状況にもなり兼ねません。
管理組合様としては、マンション全体の資産価値の低下にも繋がりかねない問題であり、抜本的な対策を施して改修を実施し、15~20年程度の耐久性を持たせる仕様にしたいとのリクエストが有りました。
-
施工前
-
施工完了
鉄骨階段(防滑塩ビシート仕様)の劣化の状況
-
手摺格子支柱は腐食して穴が空いています。
-
塩ビシートが剥離して雨水が侵入しています。
-
鉄骨階段 モルタルの凍害
施工上のポイント
まず、脆弱化した塩ビシート・ウレタン塗膜防水材・腐食した鉄板及び下地モルタルの除去が前提で、一部の腐食した鉄板の張替えも必要です。また、防滑塩ビシートの剥離を防止して耐久性を高め、冬は凍結する事が有るので雨水の溜まりを防ぐ必要が有ります。
また、その為に廊下出入り口の床に勾配を強くし、適切に雨水が流れるように配慮する必要が有ります。また、エフロの発生原因を絶ち、流れた場合の措置も講じて美観の維持も必要です。
施工の流れ
足場の架設が完了するとノンスリップ金物や押え金物の撤去を行います。踊場と踏面の塩ビシートの撤去を行いますが、接着力が低下して簡単に剥がれました。
モルタル下地は予想外の劣化状況で広範囲に凍害が発生しており、殆どの踊場・踏面は左官仕上げが必要でした。また、踏面の前面鉄板の腐食が多く見られ、3分一程度は張替えで対処し、手摺の支柱取合いの腐食部も溶接補修としました。
踊場の水勾配は中央に流れる様になっており、廊下入口からモルタルで勾配を付けて自然と踊場・踏面の側溝に流れる様に導きます。
防滑塩ビシートは雨水が流れ難い為、貼る前に踏面の左右にウレタン塗膜防水の側溝を設け、その後各階の踏面・踊場に防滑塩ビシートを張ります。なお、踏面は防水性・耐久性の高いノンスリップ一体型とし、防水と剥離防止のためSUS押え金物を取付けてシールを打ちます。
廊下の入口廻りは挙動により踊場取合いにひび割れが生じ漏水となる為、Uカットシールでスリットを設けて対策を施します。今回は各階踊場天井に横樋を取付け、出来るだけ踊場に雨水が落ちない様にしました。
-
施工前
-
足場の架設
-
踊場下の鉄板が腐食して盛り上がっているため張り替えます
-
6.0mメッシュを敷いてモルタルで復旧します
-
前面鉄板は3ぶん1程が腐食のため張替え
-
前面鉄板の撤去
-
腐食した手摺格子支柱は溶接で補修
-
手摺のペーパー掛け
-
前面鉄板のディスクサンダー掛け
-
踊場天井のケレン完了状況
-
下塗り(エポキシ錆止め) 腐食が進み易い踏面鉄板は錆止め4回塗り
-
下塗り 踏面上裏
-
下塗り(錆止め)完了 踏面上裏・ササラ桁
-
下塗り(錆止め)完了 踊場天井・梁
-
中塗り(ウレタン樹脂塗料) 踊場の梁
-
中塗り完了 踊場の梁
-
中塗り完了 踏面上裏・ササラ桁
-
上塗り(ウレタン樹脂塗料) 踊場天井
-
上塗り 柱
-
プライマー塗布
-
踊場の左官仕上げ
-
踊場の左官仕上完了
-
踏面の左官仕上げ
-
階段入り口の勾配調整
-
踊場・踏面 側溝ウレタン防水
-
踏面 ウレタン防水完了
-
踊場 接着材塗布
-
踊場 防滑塩ビシート張り
-
踏面 ノンスリップ一体型防滑塩ビシート張り
-
踊場・踏面防滑塩ビシート張り完了
-
踏面 防滑塩ビシート張り完了
-
踊場 押え金物取付け
-
踏面 押え金物取り付け完了
-
踏面 シート端末シール打設
-
踊場・踏面 シート端末シール打設完了
-
磁器タイル・アルミ支柱のエフロレッセンスの除去
-
各階踊り場下 横樋取付け完了
-
管理組合様・管理会社様による竣工検査
-
施工完了