マンション大規模修繕 知恵袋

2017.02.09

コンサルタントの役割とその必要性

これは意外と知られていませんが、建築基準法上、大規模修繕工事という定義はありません。しいて云うのなら「大規模の修繕⇒修繕する建築物の部分のうち、主要構造物(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたり修繕することをいいます。」があり、この修繕工事の場合建築確認申請が必要となります。

10年~15年に一度足場を設置し外壁の補修・塗装を施しその時に防水・鉄部塗装等も同時に施工し大掛かりな工事を実施するということですが、当然上記の様な仕上げ工事主体の工事は建築確認申請は必要ありません。

マンションの大規模修繕工事は、多額の費用を要する工事ですので多様な価値観を持つ区分所有者の皆さんの理解を頂き発注者側(管理組合様)も、やって良かったと思われる様進める事が大切です。

現在、主流になっている設計・監理方式では、設計・工事監理を専門家に委託し建物診断・設計・施工業者選定のサポート・工事監理を実施して行く事が業務となります。その為には、修繕員会の立ち上げ当初からかかわり、専門家としてのアドバイスと共に指導的役割も重要な要素となります。

従って、一連の業務を管理組合と契約する場合にはそれなりの費用がかかり、1戸当たり5万~7万程度の費用が掛かるといわれています。仙台で標準的な50戸のマンションであれば、250万~350万程度の額となっているようです。その費用が安いか高いかは管理組合様の考え方と合意形成の状況によると思います。

専門知識を必要とする調査診断や修繕設計は、修繕工事の経験豊かな1級建築士または1級建築施工管理技士が携わるのが一般的で、管理組合様独自で進める事は困難です。しかも、ボランティア的な位置付けとなるばかりではなく、成功して当たり前で失敗すれば全ての責任を負わされかねないという側面があり、プレッシャーのかかる立場で一部の例外を除いて事例は少ない様です。従って、コンサルタントの活用は合意形成を得るための手段、及び責任と役割の分担にあるとも言えます。

しかし、50戸以下の中小規模のマンションの場合、少ない世帯のために各戸の修繕金額が増加する事もあり、このコンサルタント費用の捻出は容易ではありません。実際、日頃お付き合いのある管理会社や施工会社に見積りを依頼し(概ね無料)、理事会や修繕員会または区分所有者からの業者推薦を受け、入札や見積もり合わせで業者を決定して工事を進める方式もあります。

この場合は管理組合内部にある程度の修繕工事に対する知識のある人が必要で、業者選択の際には信頼できる施工会社を見出せるかに掛かっていると思います。コンサルタントがいないと管理組合様の負担が増えるとは必ずしもいえず、信頼と良好な関係にある場合にはむしろスムーズに事が運ぶケースも少なくありません。

その為にはコンサルタントや施工業者に対しては柔軟な選択肢を増やし、よりコストパフォーマンスに優れた修繕計画を立てるのが理想的と思われます。

一覧はこちら