マンション大規模修繕 知恵袋

2017.02.09

設計監理方式と責任施工方式の意味とは?

マンションの大規模修繕工事の発注形態については、「設計監理方式」と「責任施工方式」(設計施工方式)に分けられますが、現在最も主流となっているのが、「設計監理方式」です。また、「責任施工方式」は信頼の置ける施工会社数社に呼びかけ、調査診断・修繕基本計画・修繕設計・工事費見積な出を依頼し(殆どの場合無料)、そのうちから一社を選んでそこに大規模修繕工事も請負わせる方式です。

「設計監理方式」は管理組合様の合意の後、設計事務所などコンサルタントを選び、そのコンサルタントに調査診断・修繕基本計画・修繕設計・工事費見積・資金計画・総会決議までの専門的、技術的、実務的な部分を委託し、大規模修繕工事の施工時には工事監理を委託する方式です。設計と施工(会社)が分離しているので、施工会社の選定を同一基準で行なう事が出来、工事の厳正なチェックも期待できるので、管理組合様にとっては安心して進められる方式です。

施工業者の選定はコンサルタントが積極的に携わる事で、より公正明大で高品質な施工が期待されており、マンションの大規模修繕工事は10年位前から主流の方式となり、最近は全てをお任せする「責任施工方式」は少数派となっていました。

しかし、最近の震災復旧工事を始め、一部の大規模修繕工事については「設計監理方式」ではなく、「責任施工方式」を採用する動きが見られます。震災復旧工事は管理組合様で元施工のゼネコンさんや以前大規模修繕工事を施工した業者に発注するケースが多く、自然の流れとして「責任施工方式」となっているケースが多いのです。

震災復旧工事の場合、まだ新築間もなく修繕工事実績の無い管理組合様であれば、大きな予算を伴う工事の為管理会社の設計部門や改修を得意とするコンサルさんに依頼されるケースが多いです。しかし、管理組合様によっては以前大規模修繕工事を依頼した施工会社であれば信頼関係が出来ており、あえて「責任施工方式」で発注される事が多いのです。場合によっては特命による発注も珍しく有りません。

もちろん管理組合様の諸事情にもよりますが、大きな工事を行うにあたっては多くの時間と労力を要する大きな事業であり、修善委員会や理事会の皆様のご苦労は少なく有りません。その為、信頼関係ができていて多くの経験や施工実績を持っている業者の選択肢の一つとなると思います。

弊社の場合、過去3年間の震災復旧工事及び大規模修繕工事の元請け工事で、「責任施工方式」11件、「設計監理方式」2件という結果になっています。中には、「設計監理方式」の予定が一部変更となり、修繕設計のみで工事監理は無くなり、「責任施工方式」となって修繕委員会様と直接やり取りさせて頂いたケースが2件ありました。

この場合、当初は管理会社さんの設計部門に修繕設計と工事監理を依頼されましたが、途中から管理会社さんへの修繕計画内容の不信から大幅な見直しとなり、入札指名業者を追加の上入札あるいは見積り合わせを行い、施工業者を決定して「責任施工方式」への変更となりました。

管理組合様としてはそれだけ選択肢が増えた事になり、工事監理費や間接的な経費の削減に繋がる事と、施工業者と直接やり取りする事により、よりスピーディーかつ適切な合意に基づき、よりきめ細かいご要望などに対応させて頂く事が出来たと考えています。

また、当初コンサルトが作成した工事の項目や設計仕様も必ずしも適切とは限らず、不要又は不適切な工事や実際の施工の段階で色んな不具合が発生するという事が発生します。「設計監理方式」の場合、施工業者がその不適切な内容を積極的に指摘する事は難しく、結果的に管理組合様にとっては余計な費用をかけた工事にも成りかねません。特に、修繕設計内容が全国同じパターンになる管理会社の場合その傾向が見られる様です。建物の劣化は部位や状況がそれぞれで地域性も有り、全て同じという事は有り得ません。

+今後、管理組合様の皆様も高齢化が進み、中々修善委員会や理事会が上手く機能しなくなる傾向に有ると伺っていますが、出来るだけ選択肢を広げて対応して頂き、より経験と施工実績の多い専門工事店も選択肢の一つとして加えて頂きたいと思います。弊社では、一度だけのお付き合いではなく、20年先までの修繕計画のアドバイスをさせて頂き、定期的な点検・調査を通じて長いお付き合いを頂きたいと存じます。

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