震災により「全壊」の行政認定を受けたマンションでは、中層階のバルコニーや開放廊下雑壁の大きな損傷が見られます。通常の欠損と異なりひび割れと共に大きな貫通部が見られ、鉄筋が露出して下部が座屈しているのが特徴です。中には壁に段差が生じて破壊状態に有り、「破断性クラック」等とも呼ばれる損傷です。
基本的に、柱や梁とは異なって耐力壁ではないので「雑壁」とも呼ばれていますが、基本的には震災などが起きても構造体の梁や柱には損傷が起きない基本的な設計となっています。反面、その為建物の2階~4階の辺りのバルコニーや開放廊下壁の室内側雑壁に集中して被害が発生します。
破壊された壁は内外から斫り作業を行い、脆弱部も除去して鉄筋で補強して新たな壁を造る必要が有ります。問題は、この作業の際の粉塵の発生と、室内に立ち入らせて頂く時のプライバシーの確保の問題です。
常に在宅されているという訳でもなく、また入居者様不在の時の室内での施工も問題が有り、また、作業の効率を考えた場合に大きな障害ともなります。その為の対策が室内の仮間仕切り作業で、プラススチックベニヤ板で仕切って粉塵の流入を塞ぎ、作業の際にはサッシの鍵を開けて頂き、作業員が外部から自由に出入りできる状態にします。
入居者様にとっては部屋が狭くなってご不便をお掛けしますが、外壁の補修とサッシのカバー工法が終了し、室内のボードとクロス貼りの完了日までご辛抱願う事となります。これをしないと粉塵が室内の奥まで飛散し、生活に支障を及ぼして大変な事になってしまいます。
幸い、隙間は徹底的に養生テープで塞いでいるので、寒気の厳しい最近の日々にも隙間風が入る事は殆ど無いようです。
01 バルコニー側室内仮間仕切り01
02 バルコニー側室内仮間仕切り02
03 開放廊下側室内仮間仕切り01
04 開放廊下側室内仮間仕切り02
05 室内側雑壁の砥り作業
06 室内側雑壁に斫り完了
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