マンション大規模修繕工事における談合事件について 

背景と問題の概要

最近のマンション大規模修繕工事を巡る談合問題について、コンサルタント、管理会社、大手施工業者それぞれの動向と構造的な問題点をご説明します。
この問題は、2025年3月以降、公正取引委員会(公取委)による大規模な立ち入り検査報道によって改めて大きな注目を集めています。

  1. 公正取引委員会による調査の動向
  • 立ち入り検査の実施:
    2025年3月以降、首都圏の分譲マンション大規模修繕工事において、複数の大手施工業者(当初約20社、後に30社超に拡大)が、数十年にわたり受注調整などの談合を繰り返していた疑いで、公取委が独占禁止法違反の疑いで一斉に立ち入り検査(ガサ入れ)を実施しました。
  • コンサルタントへの波及:
    検査対象は施工会社だけでなく、工事の選定に関わる設計コンサルタント業者数社にも拡大していることが報じられています。談合には、コンサルタントが特定の施工業者と不透明な関係を築き、受注を調整する構図が指摘されているためです。
  • 背景:
     談合によって工事費が不当に高額になり、管理組合の修繕積立金が過剰に使われる結果、住民に経済的損失をもたらす事態が問題視されています。
  1. 各関係者の動向・構造的な問題

          設計コンサルタント

  • 構造的な問題点:
    談合の温床として特に問題視されているのが、管理組合が専門知識の不足を補うために採用する「設計監理方式」におけるコンサルタントの役割です。

    • バックマージンの存在: 悪質なコンサルタントは、破格の安さの委託料で管理組合から業務を受託し、裏で施工会社からバックマージン(リベート)を受け取る前提で動いているケースが指摘されています。工事費の10〜20%がリベートとして上乗せされるという見方もあります。
    • 不適切な選定工作: 定期的な発注依頼を約束し、数社の施工会社と癒着することで、意図的な入札(出来レース)を実現し、特定の会社に受注させる工作(例:公募で特定の業者以外を排除、見積額を修繕積立金の残高に合わせる)を行う手口が報じられています。

         大手施工業者

  • 談合の疑い:
    公取委の立ち入り検査の対象となったのは、大規模修繕工事を請け負う最大手クラスの企業を含む、数十社に上ります。
  • 数十年の悪習:
    報道では、複数の施工業者が数十年にわたり受注調整を繰り返していた疑いがあるとされており、業界全体に根付いた「慣習」として談合が存在していた可能性が指摘されています。
  • 現場への影響:
    検査を受けた企業の中には、管理組合に対して工事業務を辞退するケースも出ており、修繕計画に影響を及ぼし始めています。また、談合防止の動きが強化されることで、人手不足やコスト増が工事費用に上乗せされる懸念も指摘されています。

          管理会社

  • 利益相反(不透明な関係):
    管理会社と施工会社の関係が不透明であることも、談合が生まれる構造的要因の一つとされています。管理会社が修繕工事を紹介・仲介する立場にあるため、利益相反や癒着の構造が生まれやすい環境にあります。
  • 情報非対称性:
    管理会社は、管理組合の修繕積立金の残高などの情報を持っているため、工事会社にその情報が流れ、見積もり額が積立金残高に「ぴったり合う」といった談合の兆候が現れる事例が報告されています。
  1. 今後の方向性・管理組合の対応

一連の報道を受け、管理組合の資産を守るための業者選定の透明性確保の重要性が再認識されています。

  • 管理組合の主体的な関与:
    コンサルタントや管理会社に任せきりにせず、管理組合自身が積極的に施工会社選びに関わることが重要とされています。
  • 業者選定方式の見直し:
     コンサルタントを介さずに、管理組合が責任施工業者を選定する新方式も提唱されています。
  • 中立なコンサルタントの選定:
    関連業界と利害関係のない、完全中立なコンサルタントを選定するためのサービスや、セカンドオピニオンの活用なども模索されています。

    談合の仕組みとリスクは次の通りです。

  • 競争が行われず、工事費が不当に高騰
  • 品質や施工内容の妥当性が不透明
  • 管理組合や住民が不利益を被る可能性

   管理組合としてできる対策は次の通りです。

  • 複数業者からの見積取得と比較
  • 入札制度の導入による透明性確保
  • 第三者(マンション管理士・建築士等)によるチェック体制の構築
  • 業者選定の過程を記録・住民に共有
  • 契約に違約金条項を設定

4.  ㈱明和の取り組み

弊社では、最近の仙台を中心とする大規模修繕工事の動向を踏まえ、以下の方針を徹底させて頂きています。

  • 契約前に「談合等の不正行為に関する誓約書」を管理組合に提出   ⇒令和7年9月1日より実施
  • 住民説明会での丁寧な情報開示
  • 談合防止のための契約条項の整備                 ⇒令和7年9月1日より実施

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坂野宏三
■マンション修繕 工事アドバイザー マンション管理組合様、賃貸マンションなどのビルオーナー様のお客様担当をさせて頂いています。大規模修繕工事の外壁調査・診断から、外壁改修・塗装・防水・金物工事などの工事もお気軽にご相談下さい。 資格:一級建築施工管理技士(監理技術者)・マンション維持修繕技術者・マンション改修施工・管理業務主任者

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