最近のマンションの共用廊下は長尺塩ビ防滑シート仕様が多くなり、排水溝は最初からウレタン塗膜防水されている事が多いです。その為防水対策がなされていて安心ですが、築10~15年以前のマンションでは殆ど防水仕様にはなっていません。
元々共用廊下やバルコニーは下に居室が有る訳ではない為、雨が降ったら排水溝を流れてドレンに集まり、竪樋を通じて外部に排出すれば良いという考えでした。つまり、防水の対象になっていませんでした。
しかし、バルコニーや共用廊下の床面は水勾配をとったり排水溝を設ける為モルタル仕上げが必要です。年数を経ると乾燥収縮の際にコンクリートとモルタルの収縮係数の違いが生じ、その箇所は集中的にモルタル浮が発生し易くなります。日差しを受ける南面バルコニーの床などはその傾向が強くなります。
モルタルの浮きはひび割れや隙間を発生させ、ひび割れ同様に雨水の侵入を許してしまい、結果的に躯体に損傷を与える事に繋がりかねません。その為、大規模修繕工事では必須の補修項目となっており、付け加えて防水処理を行うのが常識となっています。
また、RC階段や鉄骨階段でも踏面や踊り場がモルタル仕上げになっている場合、床と同様にモルタル浮きが発生し易く、特に冬の寒さが厳しい仙台などでは凍害が発生し、凍結融解によるモルタル破壊に至るケースも有ります。
マンションのモルタル床面の防水工法としては、共用廊下が塩ビ防滑シート張り仕様、バルコニーはウレタン塗膜防水の防滑仕様(トップコート仕上げの前に細かいチップを混入)が一般的です。また、最近ではバルコニーの美観・耐久性の良さなどから、塩ビ防滑シート張り仕様も多くなっている様です。
マンション大規模修繕工事の際のモルタル浮き注入標準仕様は、浮き部に対しその隙間にエポキシ樹脂を注入し且つアステンレス製のピンを併用して浮き面積の拡大を阻止すると共に、大面積の剥落を防止する工法で、一般的には16本/㎡で指定部分では25本/㎡とし、狭幅部では幅中央に200ピッチとなっています。開放廊下やバルコニーの床面は落下などの危険性は余り無い為、マンションでは一般的にはピンなしの工法が主流です。
① 施工前 ドレン周りのモルタル浮き
② 施工前 バルコニーサッシ下周りの梁型のモルタル浮き
③ 施工前 バルコニー床平場のモルタル浮き
④ 施工前 RC階段のモルタル踏面の浮き
⑤ ドリルでの穿孔作業
⑥ 切粉を清掃の後にエポキシ樹脂を注入
⑦ 穿孔穴周りをモルタル処理して施工完了
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台」
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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