先月に着工したマンションの大規模修繕工事は仮設足場も組み上がり、今度は外壁の磁器タイルや吹付けタイル(塗装仕上げ面のこと)の数量調査に取り掛かります。
契約前には簡易的な調査診断が行われ、設計数量に伴う見積り書が提出されたいますが、この調査はあくまで手の届く範囲の目視と打診検査の調査であり、外壁全面を網羅した正確な数値ではありません。磁器タイルの微細なクラックや、特に全数調査しないとわかりにくいモルタル浮き・磁器タイル浮きは特に誤差が生じ易いのです。
この為、本来は事前に足場を掛けるかゴンドラを吊って調査すべきですが、調査だけで多くの経費が発生する為に一般的には行われていません。
マンションの大規模修繕工事においては「実数清算方式」が採用されて、本工事の足場架設が終了すると外壁・廊下やバルコニー・階段の床面を全数調査を実施し、設計数量と比較してその増減を確定し、最終的な差額を金額に置き換えて下地補修金額を確定します。
管理組合様によってはこの方式を採用せず、決まった金額で契約を希望されるケースもありますが、事前に数量が確定される事によりその補修内容の確認と再検討がなされ、下地補修金額の適正な算出が可能になるといえます。その数量と金額が確定して初めて工事に着手します。
今回は東日本大震災による4月7日の大きな余震により、バルコニーサッシ廻りの埋戻しモルタルに被害が多発し、全体的にクラックの数量が2倍以上に増加していると思われます。実際下からは見えませんが、バルコニー内壁の磁器タイルには微細なクラックが多数確認できます。
また、普段の大規模修繕工事の時とは異なり、開口部の間には大きな×印の地震特有のクラックが生じていて、その中には躯体の裏側まで貫通しているものも少なくないと思われます。室内に入ってみると石膏ボードに張られたクロスにひびが入り、地震によって貫通している事が分かります。
01 磁器タイル調査&マーキング
02 バルコニー内壁の震災によるクラック (×印は貼り換え)
03 バルコニー内壁の震災によるクラック
04 バルコニー床面クラック・モルタル浮き
05 バルコニー軒天の鉄筋爆裂
06 開放廊下梁のひび割れ
07 避難階段踏面のモルタル浮き
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台」
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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