東日本大震災で被害を受けた仙台市内のマンションは、本震以上に4月7日の激しい余震にによるものが多い。市内のマンションには、バルコニーや開放廊下側の内壁に地震特有の×印のひび割れが走っています。
バルコニー側に比べ、玄関扉やパイプシャフト・ボックスなどの開口部の多い開放廊下側の被害が大きく、特に玄関扉枠とサッシの間にひび割れが集中して生じています。
4月7日の余震は激しい縦揺れだったため、本震で被害の少なかった東西長手(長い)方向のマンションにも被害が及び、本震以上の被害が拡大しています。
磁器タイル壁にはひび割れやタイル剥がれが生じ、その中には躯体(コンクリートの壁)を貫通したものも見られ、室内のクロス貼りしたボードに損傷を与えているケースもあります。
タイルを補修する為には躯体のひび割れや欠損を補修する必要がありますが、大規模修繕工事時のような通常の補修方法とは異なり、その被害の程度に応じた工法を併用する必要が有ります。
最初にひびの入ったタイルをカッターを入れてから斫り(タイルを剥がす事)取りますが、×印のひび割れ個所廻りは下地モルタルが浮いている事が多く、ひび割れの入っていないタイルも一緒に剥がれてきます。調査では浮いていなかったタイルも剥がれてしまい、斫ってみると貼り換え予定数量が上回ってしまい、結果的には周囲を全面斫りとるケースも生じます。
ここで大切なポイントは浮いた下地モルタルも丁寧に斫り取る事で、これが意外に時間のかかる作業で多くの人工を要します。カッターを入れる時には粉塵が発生しますので、バキュームクリーナーは必需品です。
ここで問題になるのが貫通クラックの補修で、0.3mm以上1.0mm未満のエポキシ樹脂低圧注入では液が反対の室内側に流れてボードを汚す可能性があります。液の粘度を高くして液漏れを防ぐ事も可能ですが、注入で対応できない幅の広いひび割は工法を変えてUカットシールとする必要がります。
Uカットシール工法とは、専用のディスクサンダーで1.0mm以上のひび割れに幅1.0cm・深さ1.0cm位の溝を切り、伸縮性のあるシール材を充填して塞ぐ方法です。液が室内に流れることが無い為室内側のボード貼り換えをせず施工ができます。
磁器タイルを貼り付ける為には下地を調整してモルタルを平滑に付ける必要があります。貼り付けにはモルタルに変えてシリコン樹脂系で弾力性の残る接着剤を使用し、接着力と下地のひび割れ防止による防水性を向上させます。つまり、タイルの落下防止と共にタイルや接着剤のひび割れ発生による雨水の侵入を防ぎます。
タイル貼りの後に目地詰めモルタル処理した後にサッシ・パイプシャフト周りにシールを打ち込み、タイル全面を酸洗い洗浄を行い、最後に美観の向上の為クリアーコーティングを施して施工は完了します。
01 施工前
02 バキュームC併用でのカッター入れ
03 カッター入れ 02 (バキュームクリーナーを使わないとこの粉塵の発生)
04 斫り作業 01
05 斫り作業 02
06 斫り完了
07 タイル浮き注入穿孔
08 タイル浮きエポキシ樹脂注入
09 下地クラック注入用座金取付け・剥離シール(液漏れ防止の為のシール)処理
10 剥離シール処理完了
11 エポキシ樹脂低圧注入シリンダー取付け
12 剥離シールとシリンダーを撤去 注入完了
13 タイル下地モルタル処理 01
14 シリコン系の接着剤を使用
15 タイル接着剤 シリコン系
16 タイル貼り付け
17タイル貼り付け完了
18 目地詰めモルタル処理
19 モルタルふき取り・清掃
20 タイル補修完了
※タイル貼りの後に目地詰めモルタル処理した後にサッシ・パイプシャフト周りにシールを打ち込み、タイル全面を酸洗い洗浄を行い、最後に美観の向上の為クリアーコーティングを施して施工は完了します。
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台」
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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