「全壊」のマンションでは玄関扉の枠に大きな歪みが生じ、扉が枠に当たって閉まらなかったり、隙間ができて風が入る障害が良くあります。
改修工法としてはサッシの枠を4方向から斫り出し、枠と扉を交換する全面的な工法が有りますが、躯体を廊下側と室内側両面から砥る作業が伴い、入居者の日常生活に大きな負担を強いる事になります。
そこで、現在最も多い工法が「カバー工法」と呼ばれるもので、サッシ3方枠とSUS沓摺はそのままで枠の内外から新たなアルミ部材と沓摺を被せてビス止めし,既存の扉も撤去して玄関扉は新たに作り直して取り付ける工法です。
この場合、大きな歪み(1.0cm以上位)がない場合には斫り作業は不要で、取付け作業も2時間程で終了する為日常生活上の負担は少なく、費用の面でも比較的安く済ませることが出来ます。
但し、扉枠幅が2.0~3.0cm程狭くなるため、新規の扉もそれにしたがって幅は狭くなります。(縦枠の内側の寸法は3.0cm~4.0cm低くなります)また、廊下側の枠が壁面より3.0cm程高くなって少し出て見える事があります。なお、枠下端の沓摺は3.0mm程高くなる程度です。
多少の難点はありますが、震災復旧工事のケースでは主流の工法となっており、現状では枠まで斫って交換する工法は少ないと思われます。(室内の仮設間仕切りが不可避で工期も長く、騒音と粉塵を発生させる為困難を伴います)
マンションが古くてこの機会に全戸の扉をカバー工法対応とするケースも有り、床の塩ビ防滑シート貼りなどと共に、イメージを一新する事も一つの選択と思われます。
本来この工法はサッシの気密性や水密性低下、あるいは社会的な劣化(美観上の問題)に対処する改修工法で、築30年以上を経過する第2回目のマンション大規模修繕工事時に採用されている工法ですが、震災復旧工事で急に需要が出てきた工法の一つです。
なお、仙台市の応急修理制度では場合により対象となる為、全壊や半壊の管理組合様では積極的な対応が目立つようです。
01 施工前 (廊下側の欠損&枠の歪み)
02 施工前 枠に歪み
03 施工前 扉室内側の歪み01
04 施工前 扉室内側の歪み02
05 既存の扉を撤去して枠下地金物取付け
06 枠下地金物取付け完了
07 カバー枠組み込み
08 カバー枠組み込み完了
09 内外の枠アルミカバービス止め
10 ラッッチ・クレセント組み込み
11 カバー枠の調整 水平機、下げ振りなどの道具を使って、位置を確認しながら、アルミ枠をビスで仮止めします。
12 カバー枠ビス止め
13 受け金物取付け
14 プッシュ式縦型ハンドル
15 丁番取付け
16 ドアクローザー&新規扉取付け
17 カバー枠再調整
18 枠廻りシール打ち込みの後新規扉取付け完了01
19 新規扉取付け完了02
20 枠廻り塗装の後完了
21 施工完了
22 施工完了 2重ロックシステム
23 施工完了 室内側 沓摺
24 施工完了 廊下側沓摺
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】
http://renewalsendail.blog99.fc2.com/


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