【改修に至る経緯】
築年数の古いマンションのバルコニー手摺はスチール製が多く、最近のアルミ手摺と違って定期的な鉄部塗装は欠かせません。しかし、足場かゴンドラを架設しないと施工は難しく、第2回目以降の大規模修繕工事で行うケースが多い。
外部に面している為雨や紫外線にさらされている鉄部の劣化は進み、築30年を経過するマンションでは発錆や塗膜剥がれ・編退色以外に、支柱やパイプなどの根回りに雨水が侵入し、腐食が進んで危険な個所も見られます。大規模修繕工事の際には根回りにシールを打つことが一般的ですが、そのまま放置されているとどんどん腐食が進み、溶接などの部分的な補修では対応ができず、結果的に手摺の全面的な更新時期を迎えることになります。
【改修のポイント】
手摺の腐食は生活者の安全に直結することから、第2回目の大規模修繕工事では検討項目となっていることも少なくありません。今回はスチールからアルミ手摺へと更新し、耐久性と塗装などのメンテナンスコストを削減することが目的です。また、共用廊下の玄関扉のカバー工法による更新と共に、美観上の観点あるいは社会的劣化の解消も目的の一つです。
今回お声がかかった管理組合様には7年前に大規模修繕工事でお世話になり、その後も小修繕工事などを通じて長いお付き合いを頂いています。区分所有者でマンションの新築や改修に精通された1級建築士がおられ、修繕設計と工事監理を自ら行われている管理組合様です。入居者にとってこんなに心強い味方も他にないでしょう。
【施工上のポイント】
今回の工事は枠や配管が腐食し使わなくなった温水ソーラーパネルを撤去し、パンチングアルミパネルを組み込んだアルミ手摺を取り付ける仕様です。設計仕様に基づいてメーカーに手摺を発注し、解体業者にソーラーパネルの解体撤去と処分を依頼します。撤去後のモルタル補修と一部残された既存のステール手摺の塗装を行い、震災復旧工事を含めて2か月半の工期で予どうりに竣工しました。
手摺の取り付け工法については、強度と躯体との取り合いの防水性を重視し、この点で優れたケミカル接着アンカー工法(日本ヒルティ)を採用しましたが、施工性の良さでも優れている点が多い。なお、既存のバルコニーはウレタン塗膜防水層のため、メタルアンカーでの取り付けは困難です。
新しくなった手摺はマンション全体の外観のイメージを一新し、美観も向上して入居者様からは大変好評でした。また、バルコニー外壁の磁器タイルの貼り換えも加わり、共用廊下側も含めた震災復旧工事も完了しました。
01 施工前
02 施工前
04 既存支柱切断
05 既存ソーラーパネル撤去
06 ソーラーパネル撤去搬出
07 ドリル穿孔作業
08 アルミ支柱部材
09 ケミカルアンカー注入
10 接着系注入方式アンカー HIT-RE-500 (日本ヒルティ)
11 アルミ支柱取付け
12 笠木部穿孔作業
13 M8メタルアンカー打設
14 アルミ枠組み込み
15 アルミ笠木取付け
16 パンチングアルミパネル取付け
17 アルミパンチングパネル取付け完了
18 施工完了01
19 施工完了02
20 施工完了03
21 施工完了04


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