築後35年を経過したマンション屋上の漏水が長年続き、今回は室内に被害が及んだために調査を行いました。3階の部屋は天井からの漏水により剥がれ、落ちた雨水によって畳屋壁のクロス・ボードまで傷んで黒かびが発生しています。幸い空き室でしたが、逆に普段人が入らないために発見が遅れ、最悪の事態となってしまいました。
漏水の原因は屋上防水層の平場や立上りの亀裂・ジョイント部の剥離・アルミ笠木廻りのシールの劣化等が考えられますが、いずれも原因を突き止めるには至らず、漏水を止める事は出来ません。漏水原因の中で最もお多いのがドレン廻りの不具合ですが、5年ほど前にドレン廻りのアスファルトルーフィングを切開し、既存の改修ドレン廻りのルーフィングを張り戻して補修した結果、水張試験を経て漏水が止まった経緯があります。
その為、今回はドレン廻りについてはノーマークでしたが、結果的にはこのドレン廻り下のルーフィング剥がれが原因でした。このマンションは7年前に全面的な防水改修を行なっていますが、ドレン廻りを改修した際には改修ドレンを取り付けて補修しています。一端は漏水が止まりましたが、その後、漏水が発生してドレン廻り切開して補修しましたが、原因は改修した際ドレン廻りに貼り付けたルーフィングではなく、新築時に設けられた下の防水層からの剥がれと判明しました。
改修ドレンを撤去の上コンクリートスラブまで切開してみると、2層目の剥離と共に水の侵入経路が確認され、漏水の原因が特定されました。新築時の防水層は2~3層になっており、その上に改修時のアスファルトルーフィングが載っていますが、改修ドレン下の防水層の劣化により、経年劣化な又は地震等どにより剥離が生じたものと見られます。
ドレン廻りを切開して補修した際、既存の防水層全てをスラブ面まで撤去するのが理想的です。しかし、最後にルーフィングを張り戻す際、水下から水上に沿って張り戻すため、通常は広範囲に貼り戻す必要があります。しかもアスファルトルーフィングにはウレタン樹脂が接着しないため、アスファルトルーフィングを熱で接着しますが水密性に若干の不安が残ります。その為、防水屋さんはこの作業を出来るだけ避ける傾向にあるのです。
しかし、最近開発された「USボンド」という接着素材が開発され、熱を加えなくても液状でアスファルトルーフィングへの密着が可能になり、ドレン廻りの補修に活用される事になりました。特徴としたは密着性と作業性の大幅な向上で、今回は、補強メッシュを併用した重ね貼りで対応して改修ドレンを収め直しました。
6時間に及ぶ水張り試験の結果は良好で見事に漏水は止まり、今後1ヶ月間の観察を経て確認を行う事となりました。(防水層に溜まった水を排出する為)過去7年間に及ぶ漏水問題はようやく解決の目処が立ち、管理組合様としても安堵された事と思います。
天井を解体
水は止まること無く落ちてきます。
畳の上にはプラスチックのコンテナを用意。
ドレン廻りのルーフィングは劣化が進んで剥離しています。
改修ドレンを引き抜きコンクリートスラブ面まで防水層を撤去。
撤去完了
新たな鉛製の改修ドレンを準備。
ハンマーで打撃しながら密着させます。
USボンドで密着。
メッシュを併用して重ねて塗布。
改修ドレン廻りを密着。
改修ドレン廻りを密着。
補強用のメッシュシート。
ドレン廻りを重ね塗り。
防水補修完了
トップコート仕上げ。
外壁側ドレン飾りますの状況。
飾ります内部まで改修ドレンを収めます。
6時間に及ぶ水張試験で確認。
関連サイト「マンション修繕工事サイト仙台」
https://www.meiwa-renewal.jp/index.html
【仙台で外壁改修、塗装、防水、震災復旧工事を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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