マンションの大規模修繕工事の必須項目にバルコニー床の防水工事が有ります。この工事は足場を架設しないと施工が困難な為、15年~20年周期に実施されることが多いようです。
バルコニー床の防水には他にウレタン塗膜防水工法が有りますが、最近は美観の向上と汚れの付着が比較的少ないことから塩ビシート貼り工法が主流の工法となっています。ウレタン塗膜防水工法の場合、床面が防滑仕上げの小さな凹凸で汚れが溜まりやすいことと、3回塗りになって工程が多く塩ビシートに比べて工期も長く割高になるのが難点です。
既存のシートを撤去して新たに塩ビシートを貼りますが、剥がした際に接着剤の残りや薄塗りモルタルの剥がれが生じやすく、高さ1.0mm~2.0mm程度の不陸調整が必要です。また、まれに施工不良による勾配不良の為水溜りが発生しているケースが有りますが、この場合には左官職人をいれて床面全体の勾配調整をする必要があります。
この項目は意外と当初の修繕設計の中に入っていないケースが多く、できれば工事着工前に全世帯にアンケート調査を実施する事も有効です。今回は最大で高さ5.0mmの勾配不良が見られ、床面全体の9割以上の調整となりました。モルタルは即硬性で乾きが早い樹脂モルタルを使用します。
作業の際にはエポキシ系の接着剤を使用しますが、貼り込みの際には多少臭いが発生しますので予め告知を行い、作業中の際サッシは締めて頂くようお願いします。作業が完了すると臭いは少なくなりますので、臭いのきついウレタン塗膜防水よりは影響は少ないでしょう。
シートの接合部は電熱の溶接器具を使って綺麗に仕上げ、シート剥がれや雨水の侵入防止の為の端末シールを打ち込んで作業は終了します。竣工時に端末シールが打たれていないケースがたまに見受けられますが、シート剥がれの原因となり、床面スラブに貫通クラックが入っている場合、漏水となって軒天からエフロレッセンスが流出しているケースが良く見られます。
なお、シート貼り前の工程として、平場・排水溝・巾木のウレタン防水仕上げ(密着工法)を行います。
施工前
電動カッターで既存のシート剥がし
既存シート剥がし完了
床面に不陸がある場合には調整します
床面の勾配不良の調査
勾配不良(高さ 5.0mm) 水溜りが発生していました。
速乾・速硬性の樹脂モルタルにて調整完了(金ゴテ仕上げ)
同上
薄塗りモルタルで不陸調整完了(高さ1.0~2.0mm程度)
塩ビシートカット作業
エポキシ系専用接着剤を塗布
シート接着作業
シート接合部の溶接作業
エポキシ系端末専用シールの打ち込み
施工完了 排水ドレン廻り
施工完了
関連サイト「マンション修繕工事サイト仙台」
https://www.meiwa-renewal.jp/index.html
【仙台で外壁改修、塗装、防水、震災復旧工事を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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