マンションの屋上やルーフバルコニーの防水層の種類に押えコンクリート防水工法が有ります。この防水改修工事を行う際、一般的な工法はウレタン塗膜防水通気緩衝工法ですが、問題となるのは伸縮目地の破断防止と膨れの防止です。
この押えコンクリート防水工法の場合、躯体の上に3層になっているアスファルト防水層(厚さ 7.0 mm 程度)が有り、断熱材を貼った上に厚さ6.0cm 程度の軽量コンクリートで保護しています。コンクリートは寒暖の差で伸縮を繰り返したり地震の影響を受け易く、防水層の立ち上を傷つけない為3.0m毎に伸縮目地が設けられています。
改修工事の際には目地を全て撤去した後シールを再充填し、平場の下地調整を行なった上でウレタン樹脂防水材を塗ります。押えコンクリートは水分を含む為、躯体とウレタン樹脂との間に通気を確保する為のシートを貼り、適度に脱気する為50~100㎡毎に通気塔の設置が必要です。
立上りの防水層は笠木を撤去して補強用のメッシュを貼り付け、天端まで貼り込んでからウレタン防水材を塗布します。また、仙台では冬期間に凍害が発生してモルタル破壊が起きているケースが有り、平場は脆弱部を除去した上でモルタルを充填し、全体を平滑にして下地調整を行います。ウレタン塗膜 平場 t=3.0mm 通気緩衝工法 (X-1工法)、立ち上がり 2.0mm 密着工法 (X-2工法)。「非歩行仕様」
なお、施工前に水溜りが確認された場合には、管理組合様の確認を頂いた上平場や側溝の勾配調整を行います。また、特に漏水の原因となり易い排水ドレンには鉛製の改修用ドレンを取付けます。平場を鉛で密着させた上で塩ビ製のパイプをドレン内に挿入します。
平場と立ち上をウレタン樹脂防水材2回塗り、紫外線から防水層を保護する為のトップコート仕上げを行い完了します。但し、ウレタン防水材は乾き難いので時間がかかる事と、溶剤系の材料の為に臭いが発生しますので、ルーフバルコニーの施工時には窓を締めて頂く様告知や掲示が必要です。
施工前 01
施工前 02
高圧洗浄完了
伸縮目地撤去
伸縮目地の撤去及び清掃完了
床目地シール充填完了 (バックアップ材共)
凍害部欠損補修
平場の下地調整モルタル仕上
ドレン廻り下地調整モルタル仕上げ (立上り補強メッシュ貼り付け)
平場下地補修モルタル仕上げ完了
改修ドレン設置(鉛製)
改修ドレン廻りモルタル仕上げ
通気緩衝シートボンド塗布
通気緩衝シート貼り付け
通気緩衝シート貼り付け完了
ウレタン樹脂防水材塗布 1回目
パラペット立上りウレタン樹脂防水材塗布
ウレタン樹脂防水材塗布 1回目 完了
通気塔取付け及びクロス補強 (50~100㎡に1ヶ所)
ウレタン樹脂防水材塗布 2回目
トップコート塗布 (防水層を紫外線から保護する為の塗料)
施工完了 01
施工完了 02
施工完了 03
施工完了 04 長尺塩ビシート張り完了
施工完了 05 長尺塩ビシート張り完了
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台」
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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