マンション大規模修繕工事の中に屋上防水改修工事が含まれていることが多いですが、主な工法は「改質アスファルトトーチ工法」「ウレタン塗膜防水」「塩ビシート機械固定式工法」の3種類が挙げられます。
一般的に既存の防水工と同じ工法による改修が原則ですが、耐久性の向上や施工性の良さなどにより「塩ビシート機械工程式工法」が採用されるケースが良く有ります。この工法は「アスファルト防水押えコンクリート仕上げ」「露出アスファルト防水」「シート防水(塩ビシート・ ゴムシート)」のいずれの既存防水層にも施工が可能で、場合によっては「ウレタン塗膜防水層」にも可能です。
但し、塩ビシートをスラブに固定するときにドリルを使って穿孔し、固定用のディスクを取り付ける必要があり、ディスクには接着剤が付いていてIH加熱器で確実に塩ビシートを固定します。その為どうしても騒音は避けられず、屋上階の入居者様には特にご不便をおかけすることが有り、施行に当っては時間帯や曜日に配慮し、予め騒音の発生する作業時間帯の事前の案内が不可欠です。
施工のポイントは、塩ビシートを平場からパラペット天端まで立ちあげて貼り込み、端末はシール処理した上でアルミ笠木を復旧します。また、ハト小屋や架台の立上り箇所はフラットバーで使途を固定し、シール処理して防水性と確保します。
この工法のメリットは、他の工法と比べて耐用年数が長く定期的な保護塗装などのメンテナンスが不要で、施工の際にはウレタン塗膜防水の様に天候に左右されることが少なく、比較的短い工期で施工が可能なことが挙げられます。
塩ビシートの耐用年数はシートの厚さで異なりますが、屋上防水改修工事の際には「非歩行用」の1.5mmが一般的です。工事保証は全体を施工した場合に10年間となっています。
なお、2回目以降のシート防水改修工事の際には既存防水層の重量計算が必要で、規定の重量をオーバーしている場合にはシートの撤去が必要になります。その為、撤去費用や廃材処分費が加わりますので施工単価は高くなります。
施工前
高圧洗浄
ハト小屋ウレタン塗膜防水
パラペットアルミ笠木の取り外し
シート端末のフラットバー押え
通気緩衝シートの上からドリルで穿孔
1固定用のディスク取り付け
通気緩衝シート固定完了
改修用ドレン取り付け
塩ビシート敷き込み
IH加熱器で塩ビシートを固定
塩ビシート固定完了
シート端末を接着固定
架台・ハト小屋などの出隅を塩ビシート貼り
アルミ笠木復旧
施工完了 平場
施工完了 パラペット立上り
施工完了 改修用ドレン取り付け
施工完了 全体
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台」
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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