施工業者の選定にはいくつかのプロセスがあり、公明正大に行なうためには1つづつ着実にこなしてゆく事が重要です。
まず、依頼先を決める際には区分所有者からの推薦、コンサルタントからの紹介、業界新聞等による公募などが考えられます。最近の傾向としてはコンサルタント(あるいは管理会社)が入札参加資格を予め決定し、その基準を満たした業者の入札あるいは見積合わせの参加業者を募集する手法が主流です。
公募の場合、聞く所によると首都圏では10社~20社程の数になる事も多く、書類審査で5社程度に絞り込むケースが多いようです。しかし、仙台では参加資格を満たす専門業者の数は少ないため、管理会社や地元のゼネコンなども参加も一般的になっています。
ここで問題となるのが参加資格及び条件です。一般的には資本金5000~8000万以上、経営規模等評価のP点が800~900点以上、大規模修繕工事元請け施工実績が3年以内に3~5件以上(請負金額指定の場合も有ります)、過去3年間の決算書の提出(黒字が前提)となどなっています。
首都圏で有れば市場規模も建物も大きい為このレベルとなっている様ですが、地方都市の場合この資格基準を満たす専門業者は少ないです。実際のところ、仙台では管理会社を除けば地元ゼネコンを含めても5~6社ほどしか該当せず、かなり限定された業者でないと参入は難しいのが現状です。
従って、大規模修繕工事に充分な施工実績が有り、経験豊富な有資格者を揃え技術力を備えた会社でも、公募による参加事態が困難という状況が有ります。
管理組合様としては経営規模の大きい業者であれば信用力は高く、高品質な施工が期待できると考える事は自然の成り行きと思います。しかし、お客様の選択肢としてはそれで理想的と言えるのでしょうか?
実際、大手業者だからといってマンションの修繕工事の現場代理人の実績や経験が不足している場合や、施工管理・安全管理はともかく入居者対応能力に掛ける場合、トラブルや相互の信頼感の欠如に繋がる事も否定できません。
また、大規模修繕工事完了後も建物の劣化は避けられず、鉄部や塗膜・シーリング・防水材等の劣化は進みます。その際の長期に渡るアフターメンテナンスときめ細かい対応は充分でしょうか?
マンション大規模修繕工事を進めるに当たってはあくまで管理組合様が主体であり、管理会社やコンサルタントでは有りません。合意決定をされる際には区分所有者の意思を充分に反映して頂き、より広い視野と柔軟性の有る選択肢を持って頂きたいと思います。


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