外部のRC避難階段は経年劣化で防水性が低下し、段裏の塗膜剥がれなどが見られる様になります。原因は踏面・踊場のひび割れが進行して貫通し、雨水が侵入そて塗膜剥がれが生じし易くなります。放置するとエフロレッセンスの流出に至り美観を損なうばかりか内部鉄筋を腐食させ、爆裂なに至って躯体を痛めることになります。
一般的な防水工法は踏面・蹴上・踊場のウレタン塗膜防水工法か塩ビシート貼り工法です。コスト的にはウレタン塗膜防水工法が安いのですが、防滑仕様にしても雨や降雪の際には滑りやすい事と、施工にはウレタンが乾きにくく工期も長くなり、施工期間中は通行できなくなりご不便をお掛けします。
最近の主流は、側溝・幅木をウレタン塗膜防水で仕上げ、踏面・蹴上・踊場の塩ビシート貼り工法となっています。特に、外部階段は防水性が重要視されていますので、踏面・蹴上はノンスリップ一体型が主流となっています。工期が短く、シート貼り完了直後には通行が可能です。
また、雨や降雪の際には比較的滑りにくく、高級感もあって美観は向上し明るくイメージが一新されます。
なお、施工に際しては以下の様なポイントが重要です。
① 勾配・不陸の確認及び調整
新築時の施工不良で踊場や蹴上に水溜りが無いか確認し、必要に応じてモルタルで勾配調整を行います。塩ビシートは凹凸が粗いため踊場・踏面に水が溜まりやすく、勾配不良や不陸の場合はより顕著になります。
② モルタル浮きの補修
踏面や踊場は勾配を付けるためモルタル仕上げとなっており、浮きが生じていると貼ったシートが膨れや盛り上がる事もあります。適切にエポキシ樹脂注入を行なってから塩ビシートを貼ります。磁器タイルノンスリップの凹凸はモルタルで平滑にします。
③ 側溝の設置
階段によっては側溝が設置されていないケースが有り、このまま塩ビシートを貼ると雨水が溜まりやすく、冬には凍結して歩行が困難で危険になることも有ります。既存の側溝・幅木はウレタン塗膜防水密着工法で仕上げますが、無い場合は塩ビシートを幅5~7cm程カットし、側溝をウレタン防水仕上げにして排水ドレンまで導きます。
施工前
漏水による段裏の塗膜剥離
高圧洗浄
モルタル浮き調査・マーキング
磁器タイルノンスリップモルタル処理
モルタル浮きエポキシ樹脂注入のため穿孔
エポキシ樹脂注入ピン併用作業
幅木・側溝のプライマー塗布
ウレタン樹脂防水材を2回塗布+トップコート t=1.5~2.0mm
側溝・幅木ウレタン塗膜防水完了
塩ビシート貼り用接着剤を塗布
ノンスリップ一体型塩ビシート貼り 踏面
ノンスリップ一体型塩ビシート貼り 蹴上
塩ビシート貼り完了
塩ビシート貼り完了
シート端末をシール処理(剥がれ防止)
施工完了
施工完了


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