マンション大規模修繕工事の際には、修繕設計・調査診断報告書作成・内訳書・仕様書の作成・業者選定のサポート・工事監理などの業務が必要となり、コンサルタントと契約することが一般的です。しかし、その選定の際には注意が必要です。
選定にあたっては管理組合様の事情や工事の規模により様々ですが、理事会・区分所有者の推薦又は公募といったケースなどが有ります。その際、大規模修繕工事のコンサルタント業務の実績やスタッフ(多くの場合は一級建築士)の数や会社の評価などが選定の基準となります。しかし、新築工事はともかく、マンションの大規模修繕工事について言えばその選択肢は限られてきす。
その原因は、その業務に特化した会社或いは建築設計事務所は少く、特に、地方都市においては特定の会社によって独占的に行われている現状がよく有るためです。そのために、特定の施工業者とのつながりが強かったり、選定の際には公正な入札或いは見積合わせが阻害されているケースも散見されます。これは管理組合様の選択肢をなくして利益を損ねる事態でいわゆる癒着です。
管理組合様の中に建築業界関係者(ゼネコンや建築設計事務所)がおられても、特定分野の大規模修繕工事に関する状況は余り知られていません。それは、大規模修繕工事は建築工事全体のごく限られた分野の仕上げ工事(下地補修・塗装・タイル改修・防水など)であり、しかも、改修工事でも入居者様が生活されている場で行われる特殊な工事だからです。
実際は、建築設計事務所・管理会社(修繕部門のスタッフを擁する会社)・NPO法人などがこれに該当しますが、一般の建築業界関係者の中でもその情報は限られています。
コンサル選定の入札の場合には3~5社程度の指名が望ましいですが、その際には内容を十分に調査・把握が必要で、特定の推薦者の偏りが無いかなどもチェックが必要です。
また、規模の比較的小さな管理組合様に有るケースですが、不適切なコンサルタントを選んでしまう事も有ります。良くあるケースでは、RC建築物の設計・コンサルタントの実績があまりなく、木造や鉄骨作りの物件専門の方(多くは個人事務所)を選んでしまう事が有ります。
みなさまの大切な資産を守るという重責を果たすために、大規模修繕のコンサルタント業者は、材料について、工法について、工事の進め方について、そしてそれらの費用についても、施工業者と同等かそれ以上の知識やノウハウがなければいけません。
概ねマンションの大規模修繕工事は、国土交通相の「建築改修工事監理指針」に準拠して修繕設計が行われますが、これを無視して行われるとトラブルの原因となります。また、仮にその知識はあっても、実務経験が無い場合には調査診断・修繕設計の際に実情に合わない設計がなされることも有ります。不適切な設計が行われることは管理組合様にとって不幸なことです。
我々施工業者は実務経験上のアドバイスすることは出来ますが、残念ながらそのコンサルタントの決定を覆す立場には有りません。コンサルタントの選定は工事全体の方向性や価格・施工品質・建物の耐久性や資産価値まで影響を及ぼしかねません。
その為、最低でも以下の事はチェックされるようお勧めします。
① RC建築物の改修工事コンサルの実績。
② マンション改修工事のコンサルの実績
③ 特に分譲マンションの場合には調査診断・修繕設計・業者選定サポート業務・工事監理の実績とその評価。
④ 修繕委員会或いは理事会とのコミュニケーション能力。
⑤ 窓口 担当者の人柄や性格。
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】


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