築38年経過するマンションの3回目の大規模修繕工事ですが、バルコニーサッシの気密性の低下や戸車の摩耗による開閉不良、クレセントの不具合が多く見られました。シングルガラスのサッシは断熱性も低く、修繕工事の選択肢としてはサッシのカバー工法と、ビート・戸車・クレセントの交換による部分補修が有ります。
カバー工法は既存のサッシ枠を残して新たな枠を被せ、障子(サッシの引き戸)を小さなサイズで制作して収める工法で、気密性や耐久性の向上など利点が有りますが一定の費用が掛ります。長期修繕計画で予算が組まれていれば良いですが、中々踏み切れず部分補修に成るケースも多い思われます。
バルコニーサッシは標準管理規約によると「窓枠及び窓ガラスは専有部に含まれないものとする」となっており、大規模修繕工事の際には共有部の修繕工事として全戸改修の対象になります。ただし、窓ガラスは組合の管理規約により「専用使用権を有している共有部」とされているケースが多く、割れたガラスの交換は個人負担と成るのが一般的の様です。
サッシのビートは塩ビ製のため硬化・収縮が生じし、ビートを交換するか又は撤去してシリコンシール打ち込むなど2種類の方法が有ります。今回は、割れたガラスの交換を希望しない世帯のみシール対応とし、その他は全戸ビートの交換としました。
作業は二人一組で1日4~5世帯程の予定でクレセントの交換を含めた作業を進めましたが、寒くなると入居者様に負担が掛かるため10月中旬までに作業を完了しました。
また、問題となるのは交換するクレセントの部材ですが、ほとんどのメーカーでは生産終了で殆ど市場在庫もなく、戸車を特注制作すると大変高価なため規格に合う標準品を探して対応しました。
戸車が擦り減ってサッシ枠がレールに接触しています。
ベアリングも擦り減って音がなりサッシの開閉不良が生じています。
塩ビ製のビートは硬化・収縮して気密性が低下しています。
サッシ枠を解体して既存のビートを撤去します。
新たなビートに交換して枠を組み立てます。
ビート根幹完了後
戸車の撤去
擦り減った戸車と汎用性のある戸車
戸車交換完了
既存のビートを撤去の上シリコンシール処理
シール処理完了
クレセントの交換完了
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