築31年のマンションで15年前の大規模修繕工事の際に全面改修した屋上の塩ビシート防水層ですが、経年劣化によるシートジョイント部の破断及び立上り入り隅部のシートの剥離が顕著となり、第2回目の大規模修繕工事で全面改修を行う事になりました。
屋上の塩ビシート防水は一般的にはディスクを取り付けてシートを貼る機械式固定工法が一般的ですが、ディスの取り付け間隔(600mmが標準)のピッチ又は取付け間隔によって強度に差が出るようです。特に風が強い場所では通気緩衝シートが風で煽られて動き易く、その環境により取付け間隔やピッチ数を調整した方が良いでしょう。今回の現場では沿岸部に近く強風が日常的の為、平場と立上りシート廻りにアルミフラットバーを取り付けて強度をアップして対応しました。
屋上防水には安価な塩ビシート密着工法も有りますが、通気緩衝シートが無くスラブに塩ビシートが密着しており、地震による動きに追従が出来なくなるとシートの亀裂や破断が起こり易く、脱気筒もない為通気が不十分の場合には膨れや剥がれの恐れが有ります。その為、面積の少ないバルコニーや狭い箇所には有効ですが、屋上防水平場の様な広い箇所には適していません。
また、立上り高さが極端に少ない場合を除き、アルミ笠木は撤去の上立上り天端まで防水シートを貼るのが基本です。塩ビシート防水は15~20年と比較的耐久性は高いと言われていますが、マンションの立地条件・環境や施工方法により耐久性は異なると考えた方が良いでしょう。
施工前
塩ビシートジョイント部の破断
シートジョイント部の剥がれ
立上り塩ビシートの剥離
補強用アルミフラットバーの取り付け
補強用アルミフラットバーの取り付け
ディスクアンカーの取り付け 標準600mmピッチ
立がりアルミフラットバーの取り付け
通気緩衝シート貼り
塩ビシート貼り
アンカーディスクにシートを溶着
施工完了
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