分譲マンションの屋上防水工法の中で最も一般的な仕様がアスファルト露出防水ですが、一般的には15~20年程度の耐久性と言われています。しかし、劣化の状況は環境や地域性により年数には開きが有り、25年以上の耐久性がある場合も見受けられます。
アスファルト露出防水層の劣化の症状は、立上り防水層の膨れ・剥がれ・ドレン廻りのルーフィングの亀裂などですが、そのまま放置すると漏水に繋がり易くなります。漏水が発生してしまうと部分補修の場合でも不良箇所の範囲と箇所数が多くなり費用がかさみますので、この症状が現れる前の防水改修工事が理想的と言われています。
アスファルト露出防水層の改修仕様には他に塩ビシート機械固定工法とウレタン膜防水工法が有りますが、改質アスファルトトーチ工法は同じアスファルト層に熱を加える事により親和性が高い工法です。この工法は硬化したりひび割れが有る既存の防水層もトーチで炙る事で再溶触し、アスフェルトの柔軟性や粘着性をある程度回復させ、防水性を再び向上させる事も可能です。施工実績が最も多い改質アスファルトトーチ工法が信頼性が高く耐久性にも優れ、部分的な補修にも対応し易い事から、マンションの改修では最も多く採用されている工法です。
アスファルト露出防水層の改修では劣化の状況により仕様が変わりますが、一般的に既存の防水層は撤去せずその上に新たなアスファルト防水層を1層貼る増し貼りのケースが多く、平場の防水層は撤去せず、水が侵入し易く入隅部の剥離や膨れが発生し易い立上りの防水層を撤去します。平場や入隅部に膨れや亀裂・剥離が発生している場合には切開し、増し貼りの前にトーチで炙って部分補修を行います。
なお、既存の防水層の劣化の状況によりますが、下地の状況が悪い場合には粘着タイプの自着式通気性の有る改質アスファルトシートを1層目に敷き、2層目をトーチで炙って施工する通気仕様にして通気塔を設けます。なお、改質アスファルトトーチ工法などの改修工法は防水層の重量の関係で2回目迄とされており、3回目の改修時には既存の防水層を撤去して施工する必要が有ります。また、アスファルト防水層の紫外線による劣化を抑制するため、5年毎のトップコートの塗替えをお勧めします。
高圧洗浄
立上りルーフィング撤去
プライマー塗布 平場・立上り
立上り 改質アスファルト1層目貼り
平場 砂付きアスファルトルーフィング貼り
立上り 2層目砂付きアスファルトルーフィング貼り
架台立上り 砂付きアスファルトルーフィング貼り
排水ドレン廻り 改修用ドレン取付け
平場・立上り 砂付きルーフィング貼り完了
架台 ウレタン塗膜防水
平場・立上り トップコート塗布
立上り トップコート及びフラットバー取付け&水切りシール完了
施工完了
施工完了


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