マンションの磁器タイル面には伸縮目地が設けられ、躯体の挙動や乾燥収縮による伸縮からタイル面を保護し、タイルのひび割れや欠損を防ぐ為に機能しています。
このタイル目地には幅20~30mm、深さ15.0mm位のシールが打たれていますが、露出している為に紫外線の影響を受けて劣化し易い部位です。築後12年位になると油分が抜けてシール自体が硬化し、目地の伸縮に対応出来なくなってひび割れや隙間が発生し易くなります。
そのまま放置するとシールの剥離や破断に至り、目地の内部に雨水が侵入して躯体のひび割れを通過し、やがて室内への漏水に繋がる可能性が有ります。
その為、マンションの大規模修繕工事などではシールの補修は必須項目となっており、足場叉はゴンドラを設置しての撤去・打替え作業が行われます。簡易的な工法としては既存のシールを撤去せず、その上から新たにシールを被せる打ち増しいわゆる「上掛け」も有りますが、シール剥れや耐久性の点で不安が残り、殆どの場合は撤去・打替えが常識となっています。
なお、シールの打ち込みの際には3面接着と2面接着の違いが有り、磁器タイル目地の場合には3面接着が一般的です。3面接着とは目地の内面両側以外に底の面も接着する打ち方で、余り伸縮幅の大きくない磁器タイル目地の場合、耐水性を重視する事が理由の一つです。
反面、オフィスビルのカーテンウォール(金属パネルなど)の伸縮目地などは伸縮幅が大きく、3面接着ではシールの破断や剥離の原因となる為、目地の内部両側のみで底の部分にバックアップ材(スポンジやテープの様な物)を埋め込み、2面接着としています。
充填されるシール材は1液型と違って硬化が均一で早く、耐候性・接着性に優れた2液型の変性シリコンが多く使用されています。作業のポイントは充分な目地の清掃の後にプライマーを塗布する事です。
施工前
既存シールの撤去後
プライマーを塗布の後に2液型変性シリコン打ち込み
ヘラ押さえして面を整える
打ち込み後すぐ養生テープを撤去して施工完了
関連サイト 「マンション修繕工事サイト仙台」
【仙台で外壁改修、塗装、防水を中心とした大規模修繕工事に特化した明和】
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