今回のマンションは築14年目の大規模修繕工事ですが、かねてから屋上のアスファルトシングル葺き屋根の漏水問題が発生していました。一部は防水材を塗布して対策を施してきた様ですが、基本的な解決策とは言えず全面的な防水改修工事となりました。
アスファルトシングル葺き屋根は軽量で地震にも強く、また強風による剥がれなどにも強いとされ、一時期はマンションの陸屋根(屋上が水平な防水層の仕様)に取って代わって多く施工されました。
メーカーによると耐用年数は20年位をされているようですが、自然劣化による膨れの発生や屋上屋根貫通部からの漏水がたまに見られます。例えば高架水槽の揚水管・給水管・架台柱の貫通部取り合いに不具合ヵ所が見られ、最上階の居室天井から漏水が発生するケースがあります。
基本的にアスファルトシングル葺き屋根に貫通部があること自体が問題ですが、殆どの場合はその取り合い部分を適切に防水処理していないケースが見られます。例えば防水材で立ち上がり処理しないでシール処理している場合などが当てはまります。
通常の防水改修工事では、比較的大きな面積で緩勾配な屋根は「アスファルトシングル葺き被せ工法」といい、アスファルトシングル材を新たに上から貼る工法が採用されます。
被せ工法の場合、まず屋根全体を高圧水洗浄した後、既存アスファルトシングル部の膨れ補修を行います。また軒先(屋根の先端部分)、ケラバ(屋根の先端では無い端の部分)の金物を、アスファルトシングル葺きと一緒に撤去し、新規の金物を取り付けます。これは、吹き上げの風への強度の対策と、雨水の浸水による漏水の対策の為です。
その後、接着材を全面に塗り、防水シートを貼る下地を作ります。既存アスファルトシングル葺きの上に塗り、新規のアスファルトシングル葺きの下地防水シートへの付着力を向上させます。
防水シートを貼った後、アスファルトシングルの基材(表面に砂の付いた仕上げ材)の裏に接着材を塗り、それを水下(勾配の低い方)から順番に重なるように貼って完了になります。頂上の棟の部分等、強度的に補強が必要な箇所は、釘を打ちます。
01 既存軒先・ケラバ金物及び屋根材の斫り作業
02 シーラー塗布
03 アスファルトルーフィング防水シート貼り付け
04 シングル屋根材接着剤塗布
05 シングル葺き屋根材釘止め。 水下(勾配の低い方)から順番に重なるように貼ります。
06 施工完了
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