マンションのエントランス廻りや犬走りの床タイルは浮きが生じやすく、時々張替え工事の依頼が有ります。床面は外壁タイルと異なってタイル目地やタイルのひび割れ箇所などから雨水が侵入しやすく、タイル接着モルタルの剥がれが生じます。特に、北面などでは冬期間の凍害に至るケースも有ります。
その他に、新設時の施工不良として接着モルタルのドライアウト(モルタル塗り材料が直射日光・風・下地の吸水などによる水分の急激により、正常に凝結硬化しない現象)により、タイルが剥離しやすいケースも有ります。
今回は床面の全面張替えを行いましたが、一部を除いて土間コンクリートが打設されおらず、下地のバサモル(セメントと砂を空練りして水を加えた物)に直接張ったタイルが剥がれています。バサモルの1/3は水分を含んで脆くなっており、不良箇所を斫り取って除去した上、新規にバサモルで下地を作って新規タイルを張り戻します。
ここで重要なのが勾配の問題です。事前にレーザーの水平測定器で正確に勾配を確認し、タイルを割り付けて張って行きます。その後目地を詰めますが、そこで実際水を流して勾配と水の切れ具合を確認します。水が貯まれば滑り易いし冬期間は氷結する恐れがあり危険です。少しでも不具合があれば一旦剥がして勾配を調整し張り戻します。
目地を詰めた後は酸洗い(塩酸を適度に薄めたもの)で洗浄し、タイル面と目地のアルカリ分を除去して仕上げます。酸洗いを怠ると後程目地から白いエフロレッセンスが流出し易くなります。
なお、施工の際には養生期間が必要になりますので、歩行を確保する為には下地を作る時・タイル張りの際2日間ほどコンパネ養生が必要です。


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